義援金の税務について

mahnian

2011年04月02日 15:20

東北地方太平洋沖地震は4月1日の閣議で「東日本大震災」と呼称されることが決まりました。気象庁が地政学的見地から命名するのに対して政府は被災実態を反映した呼称を定めます。阪神の時も兵庫県南部地震(気象庁)に対して政府の命名は阪神淡路大震災でしたね。私はなるべく感傷的でない記事を書きたいと思っているので、気象庁の方を使っている事をお断りしておきます。

3月11日以降、自分なりの情報発信をしたいと思い拙い記事を書かせていただきましたが、今回で一旦区切りをつけたいと思っています。最後に書きたいのは義援金の寄付金控除のこと、そして個人・企業の税務・会計のことです。
義援金として寄付した金額は特定寄附金を支出した場合、次の算式で計算した金額が、所得の金額から控除されることになります。(その年中に支出した特定寄附金の額の合計額)−2千円=寄附金控除額 

(注)特定寄附金の額の合計額は所得金額の40%相当額が限度です。




少々荒っぽい計算になりますが、10,000円の寄付を行うと2,000円を差し引いた8,000円が控除額となり所得税率が10%であったなら8,000円×10%=800円が、20%であったなら1,600円が還付されるわけです。

◎国税庁HPもご確認ください。


「特定寄附金」には、例えば、次に掲げる義援金等が該当します。

* 1 国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等
* 2 日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの
* 3 社会福祉法人中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための義援金」として直接寄附した義援金等
* 4 社会福祉法人中央共同募金会の「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」(平23.3.15財務省告示第84号)として直接寄附した義援金等
* 5 1から4以外の義援金等のうち、寄附した義援金等が、募金団体を通じて、最終的に国又は地方公共団体に拠出されることが明らかであるもの(以下「募金団体を経由する国等に対する寄附金」といいます。)(国税庁HPより)

◎義援金の送金や募金には様々方法がありますが、金額がそれなりの大きな金額になるようでしたら、この寄付金控除を利用して所得税の還付を受け、その分を再度義援金に回すということも可能です。復興は長丁場となるでしょうからこうした制度も利用しながら息の長い支援をしたいと思っています。私も日赤に送金した時のゆうちょの控えを保管してます。確定申告をしたことのない方でもやり方は簡単ですよ!


では法人(企業)においてはどうなのでしょうか?現在私も自社のみならず、取引先・得意先の被災状況を見積もる作業に入っています。支援も含めて企業に於ける対応も莫大になっておりますが、一般的に懸念されるのは次の点になると考えております。

1)自社の受けた人的・資産的損害及び被災地の社員に対する支援
2)取引先の受けた損害による自社の購買・仕入への影響
3)損害を受けた得意先に対する債券回収・支払猶予・債務免除の額
4)物流・倉庫の損害による流通不全による機会ロス
5)損害を受けた得意先・地域に対する取引減衰の懸念
6)上記の適切な税務上の処理
7)決算短信・有価証券報告書等のディスクローズに与える影響と対策
8)以上全てを勘案した上での業績の立て直しと今後の事業リストラクチャリング

とまぁ、大変重たい事ばかりですが、これらを解決して前進するのが企業人の使命ですね・・・頑張りましょう!

◎被災された方への税務対応はこちらをご参照ください。所得税の減免や申告期限の延長などについて記載されています。

◎法人税についてはこちらをご参照ください。損金算入の要件が記載されています。

◎日本公認会計協会長による通達ディスクローズについての意見が出されています。

以上カタイことばかり書かせていただきましたが、私もONOFFの切り替えに入ります。発信したいことがあれば又書きたいとは思いますが、次回の更新から元のレポに戻し楽しい記事を書いて行きたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます♪

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